「誰だ!? 世界のスーパースターをボケ老人にしたのは？ でも仲代さん輝いてるんだよなぁ」と、天才コメディアン・萩本欽一さんは、こう称しました。仲代達矢主演映画「海辺のリア」が絶賛公開中!!認知症の疑いのある元映画スター・桑畑兆吉（仲代）は高級老人ホームを脱走します。海辺を彷徨う兆吉、見つけ出した家族と再会を果たすも次第に彼のペースに巻き込まれます。兆吉にシェークスピアの「リア王」の狂気が乗り移り……。その圧巻の演技は一見の価値あり！悲劇がモチーフながらも、どこかユーモラス。みなさんは、どう解釈していただけるでしょうか。ただひとつ言えるとするならば、仲代さんの言葉をお借りして……「老いもまた良し」。

反ナチズムを訴えた抵抗三部作『世代』『地下水道』『灰とダイヤモンド』で国際的な評価を得、『鉄の男』『大理石の男』、そして『カティンの森』で知られるアンジェイ・ワイダが昨年秋、急逝した。享年90。この『残像』が遺作となった。巨匠ワイダが遺した最後の言葉をここに紹介したい。「一人の人間がどのように国家に抵抗するのか。表現の自由を得るために、どれだけの代償を払わねばならないのか。全体主義の中、個人はどのような選択を迫られるのか。これらの問題は過去のことと思われていましたが、再び私たちを苦しめ始めています。これらにどのような答えを出すべきか、私たちは既に知っているのです。このことを忘れてはなりません」